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法的正当性と政治的妥当性の違い

この表題を理解せずに、法的正当性と政治的な妥当性を一致させる東○南北や薩○長州といった人がいます。
私には到底できないことをしてくれますので、ある意味尊敬に値する人たちなんですが、今日は、その方に向かって、ごくごく基礎的なことではありますが、国際政治に絞ってお話をしたいと思います。

前回、国家承認の話をしました。それに関連して、サンフランシスコ講和条約のこともお話をしました。
では、「国交がない国」や「戦争しているとき」に、相手国に取り残された自国民は誰が保護するのか、という問題を、カンタンに触れてみたいと思います。

『利益代表国』というのがあります。
これは、国交断絶等で大使館や領事館を引き上げたとき、大使館等の建物や取り残された自国民を、自国の在外公館に代わって保護する国のことを指します。

これは、もちろん高度な中立性を求められますから、「利益代表国」を依頼される国は、スイス、スウェーデンが多いようです。
第二次世界大戦のとき、アメリカにおける日本の利益代表国はスペイン(途中でスイスに変更)日本におけるアメリカの利益代表国はスイスでした。
日本は1945年の8月に、ポツダム宣言を受諾しましたが、この受諾は、スイスを通じて行われた、というのはこれが理由です。

もっとも、太平洋戦争のときも、日米間や日英間では、「外交交渉」はなされていました。人道上の問題(捕虜や在留自国人の状態の確認等)、国際法違反に関する抗議(阿波丸事件等の病院船攻撃、原爆投下に対する抗議等)、日米・日英交換船赤十字を通じた活動への照会など、常に連絡や交渉は行われていたわけです。
しかし、互いに在外公館を閉鎖していましたので、これらのやりとりは、すべてスイス、スウェーデン、スペイン、アルゼンチンの大使館・公使館を通じて行われていた、ということです。

ちなみに、日露戦争のとき、ロシアにおける日本の利益代表国はアメリカ、日本におけるロシアの利益代表国はフランスです。

実は、日本も戦後、「利益代表国」を依頼され、それを引き受けたことがあります。
1971年に、カンボジア内戦が勃発し、南ベトナムとカンボジアが国交を断絶。カンボジアから南ベトナムの外交官が一斉に引き上げたとき、残った南ベトナム国民を保護することを南ベトナム政府から依頼を受け、日本がカンボジアにおける南ベトナムの利益代表国となったことがあります。

現在、アメリカとイランは国交がありませんが、アメリカにおけるイランの権益保護は、パキスタン大使館に「イラン利益代表部」が設置されており、イランにおけるアメリカの権益保護は、テヘランのスイス大使館が行っています。
北朝鮮に対しては、アメリカは、スウェーデンが北朝鮮国内のアメリカの利益代表国として存在しています。日本は、明確ではありませんが、一応、日本人が北朝鮮国内でパスポートを紛失したとき、ピョンヤンの中国大使館に行くことになりますから、北朝鮮における日本の利益代表国は中国ということになるんだと思います。


ポツダム宣言受諾後からサンフランシスコ講和条約まで、日本は外交権を停止されましたので、これら「利益代表国」はその機能を停止しました。日本にあった中立国の在外公館は引き上げられ、中立国にあった日本の在外公館も閉鎖されました。

日本における連合国や中立国の国民の保護は、基本的にはGHQが行いました。もっとも、GHQの許可なしに日本に入国することはできませんでしたから、在外公館の設置は必ずしもいる、というわけではありません。(基本的、というのは、東京に自国の「代表部」を設定していた国もある、ということです。)

では、日本人が海外渡航するときは?
これはGHQの許可が必要だったのです。
当初はこの許可は厳格に行われていましたが、次第に「日本の外務省が許可したとき、GHQが形式的にお墨付きを与えた」というように緩くなっていったようです。

ちなみに、サンフランシスコ講和条約が締結されるまで、日本は外交権を停止されており、日本と外国との外交交渉は、GHQの許可や報告を必要としましたし、日本との協定はGHQが代行して締結、もしくは、GHQの許可を経て国際会議に出席・協定に締結という状態でした。そうは言っても、1949年あたりから、これも緩くなっていったようです。GHQは「形式的にお墨付きを与える」ぐらいになっており、事実上は日本が独自で交渉したような状況になったようです。
さらに、「在外事務所」というのを、日本は講和条約前に各国に設置しています。これは、「領事館」の業務を行う日本政府の機関です。もっとも、外交権が停止された状態ですから、「在外事務所」は、法的には在外公館ではありませんし、領事館の業務全般を取り扱うことができたわけではありません。あくまでも、設置国の許可する範囲内での業務のみ行う、というものでした。
従って、最も適切な表現は、国会議事録で政府委員が発言したように「外国にある日本人のための市役所」というのが、私も適切なんだろうと思います。

これが設置されたのは、西欧諸国、アメリカ、インドといった一部の国々であって、ソ連・東欧は設置されておりません。(要請がなかったため)
この事務所設置によって、日本国民の保護が強化されることになるのですがサンフランシスコ講和条約自体に反対していた当時の社会党や共産党は、「単独講和につながる」ということで反対を表明していました。その質疑において、共産党議員は、東○南北のようなことを述べております。

議事録は、もっと具体的に述べており、こんないい加減なもんじゃないんですが、カンタンに要約して言います。

共産党議員「この講和条約を批准しなかった国との戦争状態は、法的にはどうなるのだ?」
政府委員「法的には、戦争状態が継続、ということになります。」
共産党議員「では、ポツダム宣言の効力が終了しないのであるから、これらの国々が日本を占領しても文句は言えない、ということになるのではないのか?」
政府委員「『連合国』として日本を占領していたのであって、そのあたりは、連合国間で話し合うことになろうかと思います。」
共産党議員「しかし、ソ連は講和条約に署名していない。ソ連が日本を占領することはできるのか?」
政府委員「日本の占領を継続するか終了するかは、極東委員会で決めることです。ソ連が日本を占領するには、極東委員会の許可なり決定がなければならないと考えています。」

このやりとり、一見、わかりにくいようですが、説明しますと

「法的正当性を有することと、実際にそれを行うことは同じ」と言う共産党と、「法的正当性の有無と、実際にそれを行いうるかどうかは別」という政府との立場の違い、ということです。

正解は、もちろん政府です。
「法的正当性」は、あくまでも「法的な観点」で述べたことであって、「大義名分が成立するかどうか」というだけの話です。これが、「実際に行いうるかどうか」については、自国の政治状況や国際情勢、必要性の有無等で判断されるものですから、「法的に正当性がある」からといって「政治的に妥当なもの」であるとは限りません。

イラク戦争における国連決議1441の解釈も同様です。
国連決議1441においては、米英のイラク攻撃の正当性の有無は「判断できない」というしかありません。「第7章にのっとる」という文言がある以上、「不当とはいえない」のは明らかです。しかし、武力行使を前提とした行動を具体的に言及しているわけではない以上、「間違いなく正当性を有する」ということもまた、いえないのです。
しかし、それと「イラク戦争が政治的・人道的に妥当かどうか」は別の話となります。言い換えれば、「政治的・人道的には不当と思われても、法的に不当と断定することはできない。」というのが真実の姿なのです。
もちろん、国連決議1441には、「第○条に基づく」といった文言もありませんから、第41条の「非軍事的措置によるべき」という断定は、もっとできません。「第41条と解するべき」とする人は、即刻その発言を撤回し、削除してください。


この区分けがついていない人が国際法や国際政治を語るのは、

「語っている」のではなく「騙っている」

というのが適切な日本語となるのです。
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地球温暖化の流れに逆行して、財布の中身は常に氷河期到来している、「生活は庶民以下でも、志は貴族」(←鈴木邦男氏・談)と、言える日は来ないだろうなぁ・・・。

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