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国家承認と北朝鮮のお話

近頃、国際法も知らないで、勝手に国連決議を解釈する愚かな人がおりますので、今日は国際法の、ほんのちょっとしたお話をいたします。

まず、「国家承認」と「国交」は異なる概念だということを知らなければなりません。「国家承認」をしても「国交を結んでいない」というのは、国際社会に多々あります。
日本も、2006年12月14日までそういう状態がありました。それはヨーロッパの小国・モナコです。
というのも、モナコは2005年まで、フランスの事前承諾なしに外交関係を締結することができなかったことがあり、このため、正式な国交は締結されなかったのです。といっても、東京に「名誉総領事館」が設置され、モナコへは自由に出入りできていましたから、あくまでも「形式的には」というのが実態だったわけです。

ちなみに、なぜ「フランスの事前承諾なしに国交締結可能」になってから、1年以上も日本とモナコとの間に正式な国交がなかったかというと、モナコの外交担当が人員不足のため、事務手続きが遅れに遅れた。ただそれだけの理由です。もっとも、別に国交があってもなくても、お互いに政治的にも経済的にも、人的交流も、「別にどっちでもええわ」状態であったので、特に急いでいたわけでもないんですけどね。

ところで、国家承認の方法には、大別して2つの方法があります。

『明示的承認』・・・国家が国家に対して、何らかの「宣言」「通告」で承認します。正式文書など必要ありません。極端に言えば、官房長官の記者会見でのコメントですらOKなのです。(もっとも、これだと、信憑性がないですし、第一、相手国に失礼ですが。)
『黙示的承認』・・・外交使節の派遣・受け入れ、条約の締結等相手国を国家として認めていることが前提となっている行為がなされると、「国家承認した」とされることもあります。

「国家承認」は、一方的にすることができます。

慣習的に「事実上の承認」と「確定的な承認」の2つに大別する場合もありますが、上記2つと重複する部分が多いので、この説明は割愛します。

ところで、日本は北朝鮮をどう扱っているのでしょう?
一応、「消極的」ですが、形式的には北朝鮮を国家承認をしていない、とされています。これは日韓基本条約の第3条に基づくものとされていますが、私は、この解釈に懐疑的です。条約には、『大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。』と規定されていますが、ここでは「政府承認」であって「国家承認」ではない、という解釈を私はしているということです。

ちなみに、「政府承認」と「国家承認」も違います。
「政府承認」とは「その国家における正統政府として承認する」というものであり、「国家承認を受けたある国に、異なる2つ以上の政府が存在する」場合に、そのいずれかをその国家を統治する正当な政府だと認めることです。

ただし、日本がいつ朝鮮半島を「国家として承認した」のかについては、諸説様々です南北の政府が樹立されたのは1948年前後ですし日本の施政権が消滅したのは1945年です。しかし、サンフランシスコ講和条約に、領有権の放棄として「朝鮮半島」が明記されている以上、1952年というのも成立します。

よく「それじゃ、1945年にすべきだ」とする人もいますが、これは、実は危険なことなのです。というのは、沖縄は、1972年に「返還」とありますが、正確には、「アメリカ領が日本領に変更された」のではなく「施政権の返還」であって、「潜在主権」は日本にあったのです。つまり「日本領・ただしアメリカが施政権を持つ」というものです。
日本が戦前中国に「関東州」を作ったことがありますが、それと似たパターンだと思っていただければいいでしょう。それゆえ、「施政権が消滅した」という状態で「日本領ではなくなった」とすると、沖縄の1972年までの法的領有権の問題が発生してしまうのです。

これだから、国際法は難しいんだよなぁ・・・。

そして、2002年9月17日「日朝共同宣言」を作成しました。この法的効力は微妙なところですが、ポイントは、「国交正常化を前提とした正式な外交交渉であること」です。もちろん、国交は国家の承認なしに発生することはありませんし、それを前提とした交渉を実際に行った、ということは事実上の国家承認を行ったと解することも可能となる、と私は考えています。


日本はアメリカ追随と呼ばれていますが、追随ではない場面も多々見られます。日本は国連加盟国で国交を締結していないのは、北朝鮮のみです。アメリカは、私が知る限りでは、北朝鮮、キューバ、イランとは国交がありませんが、日本はイランやキューバとは友好国です。最近までアメリカはリビアとの国交もありませんでした。日本はもちろん国交をずっと結んでいます。
最も大きな例としては、ベトナムを置いて他にはないでしょう。アメリカは南ベトナムとは国交がありましたが、北とは1995年まで国交がありませんでした。日本は1973年に北ベトナムと国交を樹立しました。この1973年というのはすごく重要なのです。というのは、1973年1月27日、南北ベトナムとアメリカでパリ協定、すなわちベトナム休戦条約が締結された年なのです。当時はまだサイゴン陥落がなく、南北は分裂したままでした。(サイゴン陥落・ベトナム統一は1975年)日本は、パリ協定が締結されたら、とっとと北ベトナムと国交を結んでしまったってわけです。


最後に、日本とアジアの関係について言えば・・・。
サンフランシスコ講和条約にインドは入っていませんが、理由は、中国参加問題等でのアメリカとの間で対立しただけであって、日本に対しては何もありませんでした。それどころか、日本との講和そのものについては、「とっとと講和しよう」ってことで、在外事務所(当時、日本は外交権がなかったので、国際法上の「領事館」を設置することができませんでした。)サンフランシスコ講和条約発効日に戦争状態終了&国交回復しちゃいましょうぜおやびん」という文書を、インドが日本に送っています。
インドネシアとビルマは、賠償問題で不満があっただけで、国交回復まで待ってらんないから、領事館つくってくれだんなという感じで、「準回復」という表現で、事実上の講和&国交回復が実現しております。

ちなみに、中国、韓国、北朝鮮は、日本の自衛隊の派遣に神経を尖らせていますが、東南アジア諸国は、「マラッカ海峡に海上自衛隊を出して欲しい」ということを言っています。そこで日本は海上保安庁の巡視船を送り、一応、感謝されましたが、さすがに相手が「軍隊に匹敵する軍事力を持つ海賊」ですから、いろんなところで、「日本軍出せ、日本軍!!何?憲法9条あるから出せない?昔、わが東南アジア諸国を侵略した?? でも、そんなの関係ねぇ!! はい、おっぱっぴ~♪」という発言が、特にタイやインドネシアあたりから、たまに見られます。もっとも、これ、本音かどうかは調べる術もありません。
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>東南アジア諸国は、「マラッカ海峡に海上自衛隊を出して欲しい」ということを言っています。
>そこで日本は海上保安庁の巡視船を送り、一応、感謝されましたが

そういうことが公式の場で語られたことはありません。巡視艇の供与や沿岸警備隊設置への協力などが言われ、実際に行われています。シンガポールは最近まで海保巡視船の派遣にすらいい顔を見せませんでした。現地国には海峡の主導権をどこの国にも取られたくないと言う複雑で微妙な力関係があるのです。
というか、マラッカ海峡は公海ではなく各国の領海が入り組んでいるので外国軍艦(=護衛艦)による海賊取締りは国際法上不可能です。

海上保安庁の派遣が「一応、感謝された」などと言っては東南アジア諸国や海上保安庁に対して極めて失礼な物言いではないでしょうか。

「とおりすがり」さんへ

>>東南アジア諸国は、「マラッカ海峡に海上自衛隊を出して欲しい」ということを言っています。
>>そこで日本は海上保安庁の巡視船を送り、一応、感謝されましたが

そういうことが公式の場で語られたことはありません。巡視艇の供与や沿岸警備隊設置への協力などが言われ、実際に行われています。

仰るとおり、公式に打診されたことはありません。あくまでもインフォーマルな、個人的見解として言っている、というレベルです。
もし、公式に打診でもしてきたら、国会で議論されていることでしょう。

>シンガポールは最近まで海保巡視船の派遣にすらいい顔を見せませんでした。

もちろん、そういう例もあります。すべての国でそうだ、ということはありません。

>現地国には海峡の主導権をどこの国にも取られたくないと言う複雑で微妙な力関係があるのです。

海上自衛隊を欲しているといっても、別にイニシアティブまで日本にとってくれ、と言っているわけではありません。あくまでも「協力して欲しい」といった話です。
仮にイニシアティブを取ってくれ、と言われても、日本としても困ってしまうでしょう。

>というか、マラッカ海峡は公海ではなく各国の領海が入り組んでいるので外国軍艦(=護衛艦)による海賊取締りは国際法上不可能です。

沿岸国の要請や許可があれば、これはクリアできます。
国際法上不可能なのは、「日本が独断で行うもの」です。とはいっても、現実問題として、日本が沿岸国の要請なしに独断で行うのは無理ですし、そもそも、要請も受けても、海賊取締りのように、特措法のような時限立法ではない、期限が定かではない長期間のミッションをするほどの余裕は海上自衛隊にはありません。

>海上保安庁の派遣が「一応、感謝された」などと言っては東南アジア諸国や海上保安庁に対して極めて失礼な物言いではないでしょうか。

それは価値観の相違である、とだけ申しておきます。

マラッカ海峡への派遣問題は公式の発言があると思うので、探しておくでつよ。
具体的に自衛隊、軍隊という枠組みではなく、実行力のある治安維持活動という趣旨の文言から派遣解釈に誘導できるという記憶なのですが、詳しくは、時間があるときにやりませう。
ちなみに、今回の記事は秀逸だお
久しぶりに、感動した

国家承認と言えば・・・

wakuwakuさん、こんばんは。

アメリカも日本も、台湾に対する国家承認はどうなっているところか、気になっています。
日本は、「黙示的承認」なのでしょうか?

cynthiaさんへ

日本は、1972年9月の日中国交正常化のための日中共同声明において、台湾を「中華人民共和国の不可分の領土」としましたので日本政府は、公式には、台湾については「中華人民共和国の領土の一部」として認知している、ということになります。従って、台湾政府は「正統政府」として認定していない、ということになりますので、「国家承認していない」という人もいますが、私個人としては「政府承認をしていない」というのが適切なのだろうと考えています。

アメリカについては微妙です。1972年のニクソン電撃訪問・1979年の米中国交正常化の際にとったスタンスは『中国本土における中華人民共和国の主権を認める。ただし、台湾領域にその主権が及ぶことは認めない。ただし、大陸・台湾双方の人民が、「中国はひとつ」と認識している事実については、これをアメリカも認識する。』と、まぁ、よくわからない状況にありますね。

ただし、台湾政府は、共産党政権そのものを正統政府として認めないというのが、公式の態度ですので、これとの国交を締結した段階で『断交』となります。従って台湾とは、日本もアメリカも国交は締結されておりません。

そうは言っても、経済・文化・歴史的なつながりが深い日台関係ですから、そのあたりは日本政府は無視しておりません。外交関係がないために、在外公館を相互に設置しているわけではありませんが、事実上の在外公館はあります。

台湾からは、『台北駐日経済文化代表処』日本からは、『財団法人交流協会』を設置していますね。共に非政府組織であり、特に日本は「民法上の財団法人」として、「台湾地域の人々との経済や文化の交流を図る」という『名目』で設置されております。もちろん、「民法上の財団法人」ですから、「寄付行為(社団法人や会社ならば「定款」となるものです)」も存在しますし、事業計画書や財務諸表も存在します。

冥王星氏へ

>マラッカ海峡への派遣問題は公式の発言があると思うので、探しておくでつよ。

記事を誉めていただき、恐悦至極に存知奉りまする・・・・。

あと、公式発言があるんでつか。もし、あったら教えてちょ。ここで交換公文を全部探すのって、結構骨・・・・。(号泣)

No title

韓国は朝鮮半島に存在する唯一の国家だと主張し、北朝鮮の支配地域を含む朝鮮半島全域を自国の領土だと主張しています。
北朝鮮は朝鮮半島に存在する唯一の国家だと主張し、韓国の支配地域を含む朝鮮半島全域を自国の領土だと主張しています。
このような状況で、北朝鮮を国家として承認するということは北朝鮮を領土を持たない国家とするか韓国を領土を持たない国家とするしかありません。
裏技としては朝鮮半島全域を韓国と北朝鮮が領土紛争で争っている交戦地域として判断し、両国を国家として承認することは可能ですが…
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地球温暖化の流れに逆行して、財布の中身は常に氷河期到来している、「生活は庶民以下でも、志は貴族」(←鈴木邦男氏・談)と、言える日は来ないだろうなぁ・・・。

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